2011年3月12日土曜日

米国におけるTMI(スリーマイル島原発)事故後の反応

菅首相、枝野官房長官の発表要旨からの続き
 
諸外国における大規模原子力発電所事故後の主要な反応に照らし、我が国の今後を考える。

1.世論
TMI事故後、米国では大規模な反核運動が吹き荒れた。
たまたま映画「チャイナシンドローム」の公開とタイミングが一致していたこともあり、その世論の盛り上がり
は国政を動かす結果となった。
結果、TMI事故後米国では新規の原子力発電所建設は行われていない。
昨今、アル・ゴア著「不都合な真実」に始まるECOブームの影響により、オバマ政権による原子力発電所新規
建設再開が計画されているが、今回の事故が米国民に与える影響は計りしれない。
また、それは日本人にとっても同様、もしくはそれ以上であろう。 
ただし、TMI事故では情報制限により不必要に不安が拡大したのだが、結果的には周辺への被害は殆ど無かったに等しいのである。
今回もTMIと同様に格納容器内の毒物質封じ込めは制御できており(圧力制御のための最小限のベントは行われているようだが…)、周辺への被害はごく限られたものに留まるであろう。
現時点で情報を早め早めに公開している姿勢は評価されるべきだ。

2.原子力発電所の安全対策
TMI事故は加圧器逃がし弁の不具合が発端ではあったが、大規模事故に至る流れを見ると、その主要因は運転
員のヒューマンエラーによるものと言える。
ヒューマンエラーの対策としては、運転員の事故時対応マニュアルの見直し等、比較的改善策をとり易い。
しかし、今回の福島第一原発における事故は、想定外の大規模自然災害が原因である。
大規模自然災害は人間には防ぎようがないので厄介だ。
とりあえず今思いつく限りの対策は下記。
(1)原発に高波堤防を設置する
(2)発電所付近の高台にDGを設置
(3)蓄圧注入系のキャパシティ追加
 
その後の福島第一原発2号の状況について補足を追加