2011年5月12日木曜日

川内村一時帰宅の真実

福島第一原発から半径20km圏内で警戒区域に指定されている、福井県川内村で一時帰宅が始まりました。
しかし、私はこの一時帰宅の映像に、非常に違和感を感じました。

ものものしい被爆装備でわずか2時間の帰宅。
映像を見た人は、「なんと危険なところへ立ち入るのだろう。」と、ある種の恐怖心と住民への同情を抱いたことと思います。

しかし、その映像から伝わってくるイメージとは随分と異なる事実も存在します。
まず、今回一時帰宅した人々の警戒区域滞在時間は、スクリーニングを含めて約7時間。
その間、帰宅住民の被曝線量は線量計で計測しています。
測定値は人によってばらつきがあったものの、最低1μSv~最高10μSvという計測値でした。

この被曝線量のばらつきは自然放射線においても同様に生じるものなので、大雑把に平均5μSv被曝したものとしてみます。
すなわち、7時間で5μSv被曝したということであり、これを1時間あたりに換算すると0.71μSv/時となります。

この0.71μSv/時とはどのような値でしょうか。
日本国内の自然放射線被曝線量(普通に日常生活をしていて被曝する線量)は1.4mSv/年です。
これを上記と同じ単位に換算すると、1.4×10^3/(24時間*365日)=0.15μSv/時となります。
同じく世界平均の自然放射線被曝線量は2.4mSvなので、0.27μSv/時。
国際線旅客機に乗ったりなんかすると、1.8μSv/時。

確かに、通常より高い数値であることは事実ですが、あれほどの重装備で立ち入る状況ではなかったことが分かると思います。
また、一時帰宅時の際に住民の皆さんが自宅から持ち帰った全ての荷物についても、スクリーニング(線量計測)の結果まったく問題ない(被曝してない)ことが分かり、皆さん避難所に持ち帰ってます。

対象地域の線量計測は一時帰宅前に当然終えてます。
したがって、このような結果になることは最初から分かっており、事前に安全性が高いことが分かっているからこそ一時帰宅を認めたのです。

なんだか、あの重装備が茶番に見えてきませんか?


では逆に、特別問題が生じるほど汚染されてない地域への立ち入りに、なぜあれほどの重装備の被曝対策を見せ付ける必要があったのか、と考えてみましょう。

政府は福島第一原発から半径20kmを一律に警戒区域に設定しました。
しかし、その警戒区域の大半が、実際には避難の必要の無いエリアなのかもしれません。(実際、SPEEDIによる放射能影響予測は、福島第一原発から北西方向に汚染が広がっていることを示しており、川内村はその圏外にあります。)
そして、必要のない避難を地域住民に強いているのだとしたら・・・。

避難されている住民の方々は長期に渡って体育館や公民館に詰め込まれ、大変な苦労をされています。
また、自宅に取り残された犬や猫といったペット、さらに牛や豚といった多くの家畜の多くが餓死という本当に辛い死に方をしています。
これらの地獄が、政府の判断ミスで必要の無い避難を強いられた結果なのかもしれないのです。

それをカムフラージュするため策としてみると、今回のパフォーマンスは非常に練られた、有効な策だと思えてくるのです。


 そもそも震災当初から政府は重大な判断ミスを続けています。
人災」へ続く。